保健室には、いじめ、不登校、虐待など、時には大人でも耳を塞ぎたくなるような重く悲しい現実を抱えた子どもたちがやってくることも少なくありません。
優しく、責任感が強い先生であればあるほど、彼らの痛みをまるで自分のことのように深く受け止め、「なんとかして救ってあげたい」と奔走するでしょう
。しかし、他者のトラウマや悲しみに長期間触れ続けることで、支援者自身の心がすり減ってしまう「共感疲労」には十分な警戒が必要です。
「仕事が終わっても子どもの顔が浮かんで眠れない」「最近、他人の感情に対して無気力になってきた気がする」と感じたら、それは心からの黄色信号です。
優しさを枯らさずにこの仕事を長く続けるためには、プロとして「ここから先は自分の領域ではない」という心の境界線(バウンダリー)を明確に引く技術が求められます。
養護教諭は子どもたちを支える重要な伴走者ですが、魔法使いではありません。
学校を出たら仕事のスイッチを意図的に切り、自分のための時間を最優先に過ごすこと。
そして、一人で抱えきれない問題は、スクールカウンセラーや児童相談所といった外部の専門機関へ適切にバトンを渡すこと。
先生自身が心身ともに満たされ、健康な状態であって初めて、子どもたちに質の高いケアを提供できるという事実を、決して忘れないでください。
自分を労わることは決して無責任なことではなく、プロとしての重要な務めです。
休日は好きなことに没頭し、時にはあなた自身も信頼できる誰かに弱音を吐き出して、心のエネルギーをしっかりと充電していきましょう。